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               第29回文化サロン      平成19年5月17日

 ライフノートのすすめ ―人生の記録を残すには―
 ゲストスピーカー   菅原 伊保子氏(フリーライター)
プロフィール
遠野市に生まれ。
首都圏で企業内定時制高校の教師をされた後、帰郷。盛岡市内の放送局に入り、NHKの番組『おばんです』の初代のアシスタントをされた。その後、印刷会社に5年ほど勤務され、現在はフリーランスのライターとして活躍されている。行政関係の広報誌や記念誌、社史、自分史などの執筆や編集に携わってこられ、今年1月に盛岡市主催「ここから始まるシニア塾〜ノート1冊から始まる自分史づくり」の講師を務められた。
今回の文化サロンは、そのような長年の経験に基づきながら、人生の記録(自分史)を残す意義とその方法を語っていただいた。
 今はあまり聞きませんが、かつて紡績工業や弱電工業の大手企業には中卒で故郷を離れ就職した少年少女のための企業内定時制高校があり、菅原さんはそこで教師をされたていたそうです。
 「もし私が自分史を書くとしたら日本の高度成長を支えた彼らたちのことを書きたいですね。」と話された。
 菅原さんのレジメから抜粋しながら・・・
1.「自分史」の歴史と意味
 自叙伝とか伝記と言われていたものがいつから「自分史」という表現になったのか?
 昭和43年頃橋本義夫さんによって自分の生活のことを素直に正直に書こうという「ふだん記運動」が起こり、昭和50年、色川大吉さんが「ある昭和史、自分史の試み」を出版し初めて「自分史」として提唱して以後、全国各地に広がった。
 子供たちや孫たちへの伝言として、物ではなく心の遺産として、次世代へのメッセージとしてなど自分史の意味は深い。
 橋本源蔵さんの「盛岡弁」、澄川嘉彦さんの「タイマグラばあちゃん」などのように皆さんが残したいものは何ですか?
2.自分史の範囲は広い
 半生を振り返る。歴史を探る(ルーツや地域の歴史)。仕事の経験や技を伝える。貴重な体験や思い出を書く。人生の重大事件を書く。歌集・句集・写真集・随筆など等自分史の範囲はとても広い。
3.自分史は自分の心おこし
 世界に一つだけの花、スマップの歌は自分史の応援歌のよう。書く過程で意外な自己発見をするもの。懐かしい人が蘇る。自分自身を見つめ直すことで自分の人生に誇りが持てるようになる。新たに情熱ややる気が沸いてくる。自分史は、民衆が生きていたその時代そのものを伝える新しい表現形態でもある。
 サロンにいらした方の中に既に自分史を書かれている方がいました。『娘への手紙』を6集も出され、他にもエッセイを書かれ、今は手が不自由になり書けなくなったので、テープに吹き込みそれが30巻ほどにもなったそうです。
執筆にあたって
1.テーマを決める。
 誰のためにどんな自分史を書くか。自分に相
 応しいテーマを探す。
2.年表をつくる
 生まれてから現在までを表にする。
 その時に日本の動き、岩手の動き、世界の動きも書き込んでおく。
 この本は→
岩手で第一号の個人タクシーの運転手さんの自分史で、お客さんとのさ
  まざまなエピソードが書かれていてある意味で個人タクシーの歴史書でもあるとのこと。
3.材料を集める
 日記、アルバム、手紙、名刺、文集などを収集する。家族のことを知るには除籍謄本をとる
 (亡くなってから80年経つと籍がなくなる)。思い出の地などを旅してみる。
4.構成(目次)を考える。立体的にとらえる。
5.書きやすいところから始める。生まれてから現在までをただ書いていくのではなく、自分が書きやすいと
 ころからでよい。
6.推敲は書き終わってすぐにするのではなく時間を置き、冷静に読めるまで待つ。
7.校正は第三者などに読んでもらうなどして入念にする。
気をつけたい落とし穴
自分史にも必ず必ず読み手がいることを忘れないようにする。
・あいまいなことを断定的に書かない。
・他人の中傷、悪口は書かない。
・自慢話や手柄話はほどほどに。
・自分の趣味のことばかり延々と書かない。
・不満や愚痴ばかり書かない。
・差別用語は使わない。

←こちらは菅原さんがライターとして関わられた著書で、当初は三浦さんが自分で執筆したように「私は・・・」と書き始めたもののあまりに三浦さんのゴルフの成績が見事で、自慢話になりかねないことから、三浦さんの功績をより称えられるようにするため取材した形で書くよう変更したそうです。
 このように社会的功績を伝えたいものなら第三者に書いてもらうほうがよいこともあるとのことです。
自費出版のご案内
・原稿が活字に姿を変え、一冊の本になると、その力は倍加するもの。
・100枚くらいの原稿なら製本キッドというもので本にできる。
・たくさんの人に読んでもらいたい時は自費出版をしているところに依頼する。
・安いからといってすぐに中央の出版社に飛びつくのは考えもの。地元で良心的な仕事をしてくれる顔の見える
 印刷屋さんを探すことをすすめたい。

 書くのが昔から好きではない私ですが、「気軽に書けるところから書けばいいんですよ」と言われると老い支度のためにも書こうかなとも思いましたが、皆さんは、菅原さんのお話をうかがって自分史に取り組む気持ちになられましたか?
 今流行のBlogは、まさに自分史ですが、十数年経った時、Blogはどんな民衆史を語ってくれるているでしょう。
 本日はありがとうございました。またの機会に自分史講座をお願いしたいものです。   (写真・記:小泉)