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第11回文化サロン   2005年11月17日
「事例検討 いわて自然環境の種々相」
   
    ゲストスピーカー:高橋 秀洋氏


プロフィール
高橋秀洋氏は1934年石鳥谷町生まれ。
花巻北高、岩手大学農学部を卒業後、岩手県庁に入庁。農林・企画・保健・環境などの分野を担当し、1993年に退職。
同年、自然公園美化管理財団八幡平支部を立ち上げ、初代支部長として公園管理の利用者負担、施設整備、自然解説、帰化外来雑草駆除作戦などに先鞭をつける。
現在、社団法人東北地域環境計画研究会理事
早池峰地域自然環境調査、北東北3県緑のグランドデザイン策定調査などに取り組んでいる。
自然環境保全法 第2条 基本理念
 自然環境の保全は、自然環境が人間の健康で文化的な生活に欠くことのできないものであることに鑑み、広く国民がその恵沢を享受すると共に、将来の国民に自然環境を継承することができるよう、適性に行わなければならない。
自然公園法 第1条 目的
 優れた自然の風景地を保護すると共に、その利用を図り、以って国民の保健、休養および教化に資する。

■岩手は「水清くゆたかなふるさと・・・・」か?
 植生自然度の状況(1986年調)
 生活環境域 22.5%・二次的自然域 65.8%
 原生的自然域 11.7%
     実は岩手県は東北5番目、全国16番目
■岩手の森林
 古くから金山、鉄山、銅山などで掘り起こされ
 南部駒産地として戸、牧として開拓され
 木炭王国、ブナ合板日本一として
     伐採され荒れているのが実態
■比較文化
 西洋の森のイメージは下生え植生、妖精、森へ入る楽しみ
 日本の森のイメージは藪ササ植生、妖怪、森からの収奪
■すぐれた自然と身近な自然
国立、国定公園は我が国の風景を代表するに足る傑出
  した自然の風景地
環境保全地域(国立公園に準じる、面積が足りない)
  和賀岳、早池峰
  鳥獣保護区・特定植物群落
国有林野の管理経営
 ・森林生態系保護地域(葛根田川玉川源流部、早池峰山周
  辺・栗駒山栃ヶ森周辺)
 ・特定動物生育地保護林(森吉山クマゲラ)
 ・植物群落保護林(八幡平・焼石岳・和賀岳)
 ・森林生物遺伝資源保存林(八甲田山・奥羽山脈北西部)
 ・緑の回廊(奥羽山脈自然樹林帯構想)
 ・緑のグランドデザイン
  (民有林緑の回廊:エコロジカルネットワーク)

身近な自然に着目
 生物多様性の三つの危機
 1、人間活動に伴う危機(ゴルフ・スキー場開発)
 2、人間活動の縮小に伴う危機(農業放棄、荒地になる)
 3、移入種等による危機(生態系が変わる)
 三つの目標         三つの方向
 1、種・生態系の保全  1、保全の強化
 2、絶滅の防止と回復  2、自然再生
 3、持続可能な利用   3、持続可能な利用
 
 個別指針
 1、重要地域の保全と生態系的ネットワーク形成
 2、里地里山の保全と持続可能な利用
 3、湿原干潟など湿原の保全
 4、自然の再生修復
 5、野生生物の保護管理、種の絶滅回避移入種問題対応
 6、自然環境データー整備
 7、効果的保全手法:環境アセスメント・国際的な取り組み

ビオトープ(自然再生)には様々なものが
 1、回復型 湿原にもどす
 2、創造型 新しく創る
 3、象徴型 (例えば蛍の見られるところとか)
 5、改善型 
 6、ネットワーク型 緑の回廊(生物を連続して保護)
エコロード(自然にやさしい道路)
  小動物が通れる道作り(トンネルを作る・初めから小動物
  が通る道を避け迂回するなど) 

        八幡平の駐車場

    トイレがあっても使用禁止?

  岩手農試 枝が払われているのはなぜ?

  八幡平の展望台付近の痛々しい木々

    元松尾鉱山住人による植林

 高橋さんは7年間八幡平に通い、生態系の変化を見てこられた。
 特別の人しか登山できなかった昔と違い多くの人がすばらしい景観を楽しむことが出来るようになったが、負の遺産でもある生態系の変化や種の絶滅の事例などを話された。
 また、山のトイレの実情や県によって異なる自然保護、整備に関する考え方など自然環境の保全の難しさを語られた。
 最近はさまざまなボランティアが植林などをするようにもなったが、ただのパフォーマンスで終わってはいないかとの辛口な発言もされた。
 自然の再生や修復は、長期にわたり辛抱強く継続していかなければならないということなのだろう。
 ただただ岩手の自然はすばらしいと思っていましたが、実情を正しく知り、再生修復や保護、保全しながら後世へと伝えていく取り組みの大切さを提起されたように感じました


熊谷印刷出版部発行

用意してくださった資料とスライドを使いました。

             (写真・記:小泉正美)